派遣社員でも残業代は出る!計算方法から残業できないパターンも紹介
「派遣社員でも残業代は出るの?」と疑問に思っている方も多いかもしれません。
結論から言うと、派遣社員でも正社員と同様に残業代は出ます。
とはいえ、残業には「法定労働時間」「所定労働時間」「36協定」などの専門的な用語が関係するので、少し複雑です。
そこでこの記事では、用語の意味、残業代の計算方法や残業できるパターン・できないパターンなどについて詳しく説明していきます。
最後にどんな派遣会社を選べばよいのかもお伝えします。
派遣社員の残業について理解したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
同一労働同一賃金により派遣社員も残業代は出る
上でもお伝えしましたが、派遣社員でも正社員と同様に残業代は出ます。
同一労働同一賃金とは、改正労働者派遣法にもとづき、同じ業務を行っている場合は雇用形態に関わらず、待遇を同一化する制度のことです。
残業についても同様で派遣社員も残業代は支給されます。なお、残業代の支給先は派遣先企業ではなく、派遣会社なので覚えておきましょう。
派遣社員の残業代の計算方法
同一労働同一賃金により、派遣社員も正社員同様の計算方法で残業代を算出します。
- 法定労働時間と所定労働時間の計算方法
- 深夜労働の計算方法
- 休日労働の計算方法
それぞれを詳しく見ていきましょう。
法定労働時間と所定労働時間の計算方法
残業代を計算する際は、特に法定労働時間と所定労働時間の違いに気をつける必要があります。
法定労働時間とは、1日8時間、週40時間の労働時間のことです。
労働基準法37条によると、法定労働時間を超える労働には25%の割増賃金が支給されなければなりません。
例えば、時給1,000円の場合、法定労働時間を超える労働には25%の割増賃金が発生し、1,000×1.25=1,250円が支払われます。
一方で、所定労働時間とは、会社独自の雇用契約書で定められた労働時間のことです。例えば、1日6時間、週30時間などです。所定労働時間は1日8時間、週40時間の労働時間(法定労働時間)を超えて設定することはできません。
割増賃金が発生するのは法定労働時間を超えた場合です。所定労働時間を超えて働いても法定労働時間内なら、割増賃金は発生しません。
例えば、所定労働時間が9時〜16時、1日6時間(休憩1時間を含む)と定め、17時まで1時間の残業5日間したとします。労働時間は1日7時間以内、週35時間となります。
しかし、1日8時間以内、週40時間以内に収まるため、割増賃金は発生しません。そのため、通常の時給1,000円で計算されます。
深夜労働の計算方法
深夜労働は22時〜5時の間の労働に適用され、50%の割増賃金になります。
例えば、時給1,000円の場合の深夜労働の残業代は1,000×1.50=1,500円です。
前述した通り、労働基準法37条の割増賃金が適用されるのは、「法定労働時間」を超える労働に対してでした。
しかし、深夜労働については22時〜5時の間の労働であれば「法定労働時間」に関係なく、適用されます。
休日労働の計算方法
法的休日とは、労働基準法35条によると、使用者は労働者に対して1回の休日を与えなければならないとされています。
この定めを超えて休日労働した場合の割増賃金は35%です。つまり、時給1,000円の場合は1,000×1.35=1,350になります。
しかし、休日の割増率が適用されるのは「法定休日」のみです。
例えば、日曜日を法定休日としている企業の場合、土曜日の労働では休日労働の割増賃金は発生しません。
そのため、法定休日を事前に調べておきましょう。
派遣社員の残業時間の上限は「月45時間・年360時間」
派遣会社と派遣社員で36協定を締結している場合、派遣社員の残業時間の上限は「月45時間・年360時間」です。
36協定とは、使用者が労働者に対して定めた時間外労働に関するルールのことです。労働基準法第36条に規定されているため、「36協定」と呼ばれています。
派遣会社が派遣社員に時間外労働を行わせる場合は、派遣会社・派遣社員間で36協定を締結して、労働基準監督署へ届け出なければなりません。
そのため、36協定は派遣会社と派遣社員の合意によって、時間外労働を認めるものです。
派遣社員の残業時間の上限に関するルール
派遣社員の残業時間の上限は決まっており、以下の2つのルールもあります。
- 特別条項付き36協定で上限は引き上げられる
- 36協定により違反した場合の罰則が設けられている
それぞれのルールを解説していきます。
特別条項付き36協定で上限は引き上げられる
36協定を締結している場合、派遣社員の残業時間の上限は先ほどもお伝えした通り、「月45時間・年360時間」です。
しかし、繁忙期などの関係で残業時間が上限を超えてしまう場合は、事前に特別条項付き36協定を結んでおけば、残業時間の上限を引き上げられます。
特別条項付き36協定の残業時間の上限は「年720時間以内、月100時間未満、複数月平均80時間以内」です。これを超えた場合は法律違反になります。
36協定により違反した場合の罰則が設けられた
労働基準法改正前の36協定には罰則がありませんでした。
そこで改正後の36協定(大企業は2019年4月~、中小企業は2020年4月~から施行)には法的拘束力を持たせ、36協定を結んでいなかったり、残業の上限を超えたりなど違反した場合の罰則が設けられました。
- 6ヶ月以下の懲役
- 30万円以下の罰金
罰則が設けられたことにより、企業はより残業時間を意識するようになったと考えられます。
派遣社員が残業できない3つのパターン
派遣社員が残業できないパターンは、以下の3つです。
- 派遣会社が36協定を締結していない
- 雇用契約書に残業ができない旨の記載がある
- 就業条件明示書に残業に関する記載がない
それぞれの詳細を見ていきましょう。
派遣会社が36協定を締結していない
派遣会社が36協定を締結していない場合は残業ができません。残業命令を聞かなればならない根拠が欠けているためです。
そのため、残業を指示された場合に断ることはもちろん、派遣会社の担当者へ相談しましょう。
雇用契約書に残業ができない旨の記載がある
雇用契約書に残業ができない旨の記載がある場合は、派遣先企業から指示されても残業できません。気になる方は、一度雇用契約書を確認しておきましょう。
就業条件明示書に残業に関する記載がない
就業条件明示書に残業に関する記載がない場合も派遣社員は残業できません。
就業条件明示書とは、労働基準法第15条にもとづき、雇用契約の際に派遣会社が派遣社員に渡さなければならない労働条件の内容を記載した書類のことです。
労働条件には、以下のことが記載されています。
- 労働条件の内容
- 賃金
- 就業場所
- 始業・終業時刻
- 休日
- 所定労働時間を超えた労働の有無
そのため、記載された労働条件次第で残業ができるかが決まります。
派遣社員が残業を断れない2つのパターン
残業を断りたい時もあるかもしれません。しかし、派遣社員が残業を断れない場合も以下のように2つあります。
- 36協定と就業条件明示書で残業が定められている
- 残業時間が36協定で定められた範囲内である
それぞれ説明していきます。
36協定と就業条件明示書で残業が定められている
36協定と就業条件明示書で残業が定められている場合は残業を断れません。残業をすることが契約・法律上認められているためです。
例えば、就業条件明示書には「1日2時間以内の時間外労働あり」など残業に関する規定があるかもしれません。
就業条件明示書を確認して残業が断れるかを確認しておきましょう。
残業時間が36協定で定められた範囲内である
残業時間が36協定で定められた範囲内であれば、残業は断れません。残業を指示する正当な理由になるためです。
残業時間が「月45時間・年360時間」に収まっているかを確認してから、残業に応じてください。
ただし、体調不良や身内の不幸などやむを得ない理由がある時は、残業を断れないかを派遣先の上司や派遣会社の担当者に相談してみましょう。
派遣社員が残業を避けるための3つのポイント
派遣社員が残業を避けるためのポイントは、以下の3つです。
- 早い段階で今日は残業ができないことを伝えておく
- 就業先を紹介される前に「残業なし」と希望を伝えておく
- ライフスタイルに合わせた提案をできる派遣会社に登録しておく
残業をしたくない場合は、参考にしてください。
早い段階で今日は残業ができないことを伝えておく
早い段階で今日は残業ができないことを伝えておきましょう。就業間際は帰れない雰囲気になっている場合もあるためです。
例えば、残業要員の頭数に入らないよう、上司に「来週は外せない用事がありまして、残業は厳しいです」と早めに伝えてみてください。
自分の仕事を終えていることに加えて、納期が差し迫った仕事がなければ、応じてもらえる可能性が上がります。
就業先を紹介される前に「残業なし」と希望を伝えておく
就業先を紹介される前に派遣会社へ「残業なし」と希望を伝えておきましょう。希望が通った場合、入社後に残業を求められることがなくなります。
なお、「残業なし」の希望が通る可能性は十分にあります。派遣社員より正社員を残業させて、人件費を抑えたい企業が多いためです。正社員は固定残業制度など給与に残業代が含まれている場合があるからです。
最初から無理だと諦めずに、残業をしたくない場合、派遣会社へ希望を伝えてみてください。
ライフスタイルに合わせた提案をできる派遣会社に登録しておく
ライフスタイルに合わせた提案をできる派遣会社に登録しておきましょう。派遣会社によっては希望に添った派遣先を紹介できない場合もありえます。
例えば、子育ての関係で6時間勤務を希望していても、8時間勤務の求人案件しか紹介でいない派遣会社もあるかもしれません。
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まとめ:残業のことも考えて自分に合った働き方をしましょう
同一労働同一賃金により、派遣社員も正社員同様、残業代が出ます。ただし、派遣社員でも残業を断れない場面もあるかもしれません。
そこで派遣社員に残業を強要しないような派遣先を選ぶのがポイントです。自分に合った企業を紹介できる派遣会社を選ぶと、自由に働きやすいです。
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また、働き始めてから6ヵ月で発生する「年次有給休暇」や研修が受けられる「スキルアップサポート」などの福利厚生も充実しているので、快適に働きやすいです。
登録は1分でできますので、「よい環境で働きたい」と思っている方は、活用してみてはいかがでしょうか。
残業のことも考えて自分に合った働き方をしましょう。