派遣での面接はNG?派遣社員の採用プロセスや注意点・対策なども解説

派遣での面接はNG?派遣社員の採用プロセスや注意点・対策なども解説
派遣のお仕事のギモン

派遣は正社員やアルバイト・パートとは違い、雇用主と勤務先が異なる雇用形態です。

正社員やアルバイト・パートとして働くにあたり、勤務先による面接の実施が一般的ですが、派遣では面接はありません。厳密に言うと派遣社員への面接は禁止されています。面接の替わりに「面談」が行われます。

なぜ派遣では面接がないのか、面接と面談の違いから面談での注意点についても紹介します。

派遣社員を目指す人向けに、面談時によくされる質問も紹介していますので、面談対策に役立ててください!

目次

派遣先企業による派遣社員の面接はNGな理由

そもそも、なぜ派遣先企業は、派遣社員との面接が禁止されているのでしょうか。

その理由は大きく3点あります。

  • 法律で禁止されている
  • 派遣先と派遣社員は雇用関係にない
  • 派遣社員の勤仕機会を保全

順番に詳しく解説していきます。

理由①法律で禁止されている

まず第一に、派遣先企業は派遣社員の選考をしてはいけないと労働者派遣法に明記されています。

労働者派遣法第26条6項
労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。

記載内容をみると「派遣労働者を特定することを目的とする行為」はできないとされています。つまり、この行為の中に面接が含まれているわけです。なお、禁止されているのは面接だけではありません。(詳細は後述。)

派遣先企業は派遣社員を選考する権限がなく、ルールを守らないと法律違反となってしまうため、注意が必要です。

理由②派遣先と派遣社員は雇用関係にない

派遣先企業と派遣社員に雇用関係はありません。雇用主である派遣会社も面接ではなく、定期的に登録会を実施し、雇用関係を結びます。

派遣社員の雇用関係にあるのは派遣会社であるため、社員と派遣先企業を結ぶ仲介的な役割を担うのは派遣会社です。

ただし、定員以上に候補者がいる場合、派遣先企業は求める社員像に最も合う人材を選ぶことはできます。選考を必ずしも行わないわけではないので注意しましょう。

なお、派遣先企業は派遣社員に対して業務における指揮命令は可能です。

理由③派遣社員の勤仕機会を保全

派遣先企業による選考が禁止されているのは、派遣社員の勤仕機会を守るためでもあります。

もし派遣先企業が社員を選べる場合、外見や年齢など能力以外の面で判断され、正当な労働機会を失いかねません。

派遣労働者に対し、フェアな労働機会を与えるためにも面接は禁止されています。

派遣先企業が面接以外にNGとなる派遣社員の選考方法3つ

労働者派遣法に「派遣労働者を特定することを目的とする行為」をしてはいけないと明記されていますが、面接だけに限りません。

ここからは、面接以外に派遣先企業がNGとされる選考方法についてみていきましょう。

履歴書・職務経歴書を使った選考

派遣先企業は、面接時に提示されることが多い履歴書・職務経歴書も選考手段として利用してはいけません。

とはいえ、派遣先企業にとって情報がない人材の受け入れはハイリスクです。

そのため、派遣会社は「スキルシート」と呼ばれる書類を用意します。一般的に、登録会で職歴や資格、タイピングの技能レベルなどをスキルシートにまとめます。

スキルシートがリスク軽減材料として活用されますが、個人情報の記載はされていないため、素性の追求はできません。

適性検査での選考

派遣先企業は、採用前の人材に対し、適性検査や技能テストといった試験の実施および選考への活用が禁止されています。

派遣社員は、派遣会社への登録後から派遣先企業決定までのフェーズで試験を受けることは一切ありません。

年齢・性別による選考

派遣先企業は、派遣候補者の年齢や性別での選考はできません。

年齢に制限をかける・・・・・・​​雇用対策法で禁止
性別で判断・・・・・・男女雇用機会均等法で禁止

それぞれ上記の法律で禁止されています。なお、年齢や性別による選考は派遣に限りません。

正社員や契約社員の雇用形態でも同様の法律が適用されます。ただし、働くうえで支障をきたすといった極度なケースでは例外となる場合もあります。

派遣社員の採用方法は顔合わせ・面談!面接との違いや目的

派遣先企業や派遣会社にとって、何の情報がない人材の採用はハイリスクであるため、簡単ではありません。

そこで、派遣先企業は顔合わせや面談の機会を設けるのが一般的です。ここでは、顔合わせや面談を実施する目的について確認していきましょう。

「顔合わせ・面談」は面接とは違い選考目的ではない

顔合わせや面談は、選考を目的としていません。派遣会社の担当者も同席が義務化されているため、派遣先企業の担当者と候補者の三者で実施されます。

具体的には候補者自身のスキルや経歴、業務内容の擦り合わせがメインとされ、候補者のための職場見学も兼ねて行われます。

目的①双方の雰囲気や働くイメージを掴むため

派遣先企業と候補者は、面談で初顔合わせとなります。面談が行われる最大の目的は、双方に不都合がないかを確認し、ミスマッチを事前に防止することです。

また、候補者にとっては初の勤務先訪問となり、実際に働くイメージを掴むきっかけにもなります。なお、面談を行ったうえで「雰囲気が合わない」と感じたら、就業を断ることもできます。このように、働いてから後悔しないために行う最終確認の場でもあるわけです。

目的②求職者の疑問点解消のため

派遣先企業との面談は、求職者の疑問解消のためにも重要な場です。

特に求職者は、持っているスキルで本当に業務が遂行できるのか不安を抱える場合があります。

業務で必要とされるスキルと、求職者が持っているスキルにズレがないかを確認する機会は欠かせません。

面談では、スキルシートを活用したスキル面の確認などを行い、求職者が問題なく勤務可能かどうかを確認します。

派遣先企業との基本的な面談プロセスは?

ここからは、派遣先企業との面談を問題なく進めるために、基本的な面談当日の流れを確認します。

全体的な流れとしては、以下のとおりです。

  • 派遣会社の担当者と待ち合わせ
  • 挨拶や自己紹介
  • 面談でスキルや業務などの擦り合わせ
  • 質疑応答

当日の流れを順番に確認していきましょう。

派遣会社の担当者と待ち合わせ

まずは、同席する派遣会社の担当者と待ち合わせをします。目安としては、面談前の20〜30分程前に最寄り駅または派遣先企業のビル前に集合するケースが多いです。

そこで、必要書類の確認や面談の流れなどの最終確認を行います。

挨拶や自己紹介

面談5分前になると、派遣会社の担当者から派遣先企業の受付に案内してもらえます。

基本的に、派遣先企業との挨拶は担当者が先導する、派遣社員候補者は後に続く形で丁寧に行うようにしてください。とはいえ、あまり慣れていないと緊張から声が出ない場合もあるでしょう。そのため、事前にシミュレーションしておくとスムーズに行えます。

続いて、会議室へと案内してもらい、実際に面談がスタートします。まず同行している担当者から派遣社員のスキルシートを派遣先企業に渡し、簡単な説明の後に派遣社員本人の自己紹介を行います。なお、自己紹介はスキルシートに記載された経歴やスキルに関する内容を中心に、アピールできるように話しましょう。

質疑応答

自己紹介後は、派遣先企業から業務に関する質問をいくつか受けます。主な質問内容は後述しますが、簡単な内容ばかりなので、スムーズに答えられるようにしてください。

派遣先企業から「何か疑問点や質問はありますか?」と逆質問されるケースも多々あります。ここで、事前に用意した質問をしましょう。

なお、人によっては「特にありません」と返してしまうこともありますが、あまりおすすめしません。質問をすれば双方の認識にズレがなくなりますし、何より熱意が伝えられるからです。

ここまでの所要時間は30分〜1時間ほどですので、最後まで気を引き締めて臨みましょう。

派遣先企業との面談で印象に影響する注意点5つ

派遣先企業との面談で印象に影響する注意点5つ
面談が選考目的ではないとはいえ、印象が悪いと結果的に採用されないケースも生まれかねません。

特にマナーに欠けた人材は、派遣先企業としても受け入れづらいでしょう。

そのため、面談にはしっかりとした心持ちで臨む必要があります。

具体的には、以下の5点が注意点です。

  • 清潔感のある服装や身だしなみ
  • 自己紹介の準備
  • 熱意を伝える
  • 質問を複数用意する
  • NGの質問はしない

面談前に確認しておきましょう。

注意点①清潔感のある服装や身だしなみ

服装や身だしなみは、派遣社員の印象に大きく影響します。だらしない服装や髪型では良い印象は抱かれません。

服装は、スーツやジャケットなどのビジネスカジュアルが好ましいです。

特に男性であれば、髭を剃る、靴を磨くなどもビジネスマナーとして徹底しましょう。

注意点②自己紹介の準備

面談では自己紹介の機会がありますが、事前に準備していないと何から話したら良いか分からず、言葉に詰まる場合もあります。

そのため、事前に自己紹介を想定したシミュレーションを行い、話す内容もあらかじめ準備しておきましょう。

準備しておけばハキハキと話しやすく、相手からも好印象になります。

注意点③熱意を伝える

派遣先企業に熱意が伝われば、採用後にお互いが気持ちよく仕事をできます。

自己紹介で積極的なアピールや、明るい表情でコミュニケーションを取るなど相手に熱意が伝わるように意識しましょう。

注意点④質問を複数用意する

派遣先企業に「何か質問はありますか?」と逆質問をされたときに、質問をすれば相手に積極性が伝えられます。

たとえば、下記のような質問は効果的です。

質問例①:御社ではどんな人がのびるとお考えですか?
質問例②:御社で成果を出している人の共通点は何かありますか?
質問例③:御社の勤務開始日までに、準備や勉強しておいた方が良いことはありますか?

相手に熱意が伝わるような質問をしていきましょう。

注意点⑤NGの質問はしない

積極的な質問はプラスに働きますが、質問内容によってはマイナスな印象を与えかねません。

たとえば、給与面や待遇面といった、ホームページなどを事前に調べれば分かるような内容は避けましょう。

ただ単に質問をすれば良いわけではないので、質問内容をしっかりと再確認することも重要です。

派遣先の面談でよく聞かれる質問6つ

派遣先の面談でよく聞かれる質問6つ
面談時、派遣先企業から質問をされる機会がありますが、主にどのような質問がされるのでしょうか?

ここからは、派遣先の面談でよく聞かれる質問を6つ紹介します。

  • 質問①前職の退職理由は何ですか?
  • 質問②志望動機や弊社で良いと思ったポイントはありますか?
  • 質問③いつから・どれくらい就業可能ですか?
  • 質問④具体的にどんな仕事をしてきましたか?
  • 質問⑤スキルレベルを教えてください
  • 質問⑥仕事に対して心掛けていることはありますか?

どんな質問がされても良いように、最低限の準備はしておきましょう。

質問①前職の退職理由は何ですか?

職を転々としている場合や、前職の勤務期間があまりにも短いときに聞かれやすい質問です。

偽りなく回答する必要はありますが、あまりにも身勝手な理由での退職では相手に悪い印象を与えかねません。

そのため、相手にネガティブな印象を与えるような返しはできるだけ避けましょう。

質問②志望動機や弊社で良いと思ったポイントはありますか?

基本的に派遣先の企業名は事前に明かされないため、通常の派遣では志望動機は聞かれません。

将来的に正社員として雇用する可能性があるため、志望動機を聞かれる場合もあります。

質問③いつから・どれくらい就業可能ですか?

この質問は、単純に派遣社員が稼働可能な時間の目安を確認するためにされます。

派遣先企業には「週◯日勤務」「1日◯時間以上」のように基準が設けられていることが一般的です。

そのため、この基準よりも少ないまたは短い時間では就業できないケースもあるので注意しましょう。

質問④具体的にどんな仕事をしてきましたか?

過去の職歴に関する質問も非常に多いです。職歴に関しては、自己紹介時に話しますが、より踏み込んだ内容を聞かれることがあります。

特に、派遣先企業と同じような職種で働いた経験がある場合は、過去の経験が活かせるかどうかを確かめるために聞かれます。

そのため、過去の経験がしっかりと活かせると説明できれば、アピールにもつながります。

ただし当然ですが、虚偽の内容はNGなので注意しましょう。

質問⑤スキルレベルを教えてください

パソコンスキルや英会話などのスキルが業務上必要になるケースがあります。

そこで、事前にどれほどのスキルレベルがあるのかを聞く場合があります。

登録会で行うタイミングテストの結果をはじめ、スキルに関してはスキルシートにも記載されていますが、より詳細に伝えましょう。

パソコンスキルの具体例ブラインドタッチができる
Excelなら、ピボットテーブルを活用したデータ分析ができる
◯◯のような資料作成経験があります

質問⑥仕事に対して心掛けていることはありますか?

派遣社員の候補者が、どのような心持ちで仕事に臨んでいるのかを確かめるために質問される場合があります。

この質問がされたら、相手に熱意をアピールするチャンスです。

できるだけ詳細に熱意が伝わるような回答をしましょう。

回答の具体例
いつも明るい表情で業務にあたることを心掛けています。
資料作成では上司の意図を正確に汲み取って取り組むことを意識しています。
一度指摘されたことは再び指摘されないように改善に努めます。

紹介予定派遣の場合は面接が実施されるケースも

基本的に派遣で働くにあたり面接はありませんが、例外もあります。

それが紹介予定派遣(直接雇用を前提とした派遣)で契約した場合です。ここからは、紹介予定派遣について見ていきましょう。

    • 紹介予定派遣の特徴
    • 双方のミスマッチを防ぐため
    • 集団面接はなし

この機会に覚えておくことをおすすめします。

紹介予定派遣の特徴

派遣の働き方の1つに、直接雇用を前提とした紹介予定派遣があります。

紹介予定派遣は、派遣社員として勤務した後、企業と本人がお互いに快諾すれば正社員や契約社員といった直接雇用に切り替わる働き方です。

つまり、紹介予定派遣は通常の派遣より正社員になれる可能性が高い契約というわけです。

双方のミスマッチを防ぐため

紹介予定派遣で派遣先企業が面接を行う最大の理由は、双方のミスマッチを防ぐためです。

将来的に正社員や契約社員として直接雇用する可能性がある以上、お互いの相性がうまくマッチしなければ早い段階で退職などに繋がりかねません。

大事な人材を長期的に確保するためにも、事前に確認する必要があるのです。

集団面接はなし

正社員などの面接では集団面接が採用されることも少なくありません。

しかし、紹介予定派遣では基本的に集団面接ではなく個人面接となります。そのため、周りの人を気にせず、自分の意見をはっきりと伝えられる場になるでしょう。

なお、派遣会社の担当者が立ち会うケースもあるので、その場合は三者面接となります。

初めは派遣社員として採用されるので、現時点で直接雇用するレベルにスキルがなかったとしても、やる気や熱意を買われて採用されるケースもあります。

紹介予定派遣は、働きながらスキルアップもしていけるため、企業にとっても人材育成の面でコストパフォーマンスが良いためです。

まとめ:紹介予定派遣以外で派遣の面接はNG!正社員を目指す人はしっかりと面接対策もしよう

紹介予定派遣以外で派遣の面接はNG!正社員を目指す人はしっかりと面接対策もしよう
ここまで、なぜ派遣では面接が禁止されているのか、面接と面談の違いから面談での注意点などについてみてきました。

基本的に派遣では面接は禁止されています。とはいえ、顔合わせや面談が行われることはあります。そのため、質問には答えられるように準備しておきましょう。

なお、ビッグアビリティなら良い条件の案件を多数取り扱っています、優良派遣事業者認定制度に認定されているので安心感もあります。さらに、スキルアップできる環境や全国健康保険協会「協会けんぽ」 や年次有給休暇も用意しています。

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